作画についての振り返り

よこせ/マンガ家

※本記事は、22年11月5日(土)に開催されるコルクスタジオフェスに際し、スタジオ所属作家が自身の成長・変化を作画面から振り返ろうという企画で書いたものです。

◾️3年前

https://yokosexy.com/n/n870c5ac53302

3年前の自分は、漫画関係の仕事(編集業など)に転職したかった。けれど、そういった職種・業界には転職の際に有利になる資格・免許などは(自分の知る限り)特にないため、転職活動の際に「漫画の勉強をしていました」とアピールできるように、自分で漫画ネームをよく描いていた。

ただし、作家としてやっていくつもりはなかったので、ストーリー面の勉強はしつつも、絵の勉強については特に意識せず、漫画ネームとして伝わるものが描ければ必要十分だと考えていた。(今思うと、そのまま編集者を目指していたとしても、ストーリーやネームと並行して、絵の勉強もしておけばよかったと思う。編集業にも、絵のスキルは有用だと思う。)

この作品は3年前、会社員として勤める傍らで受講していた「コルクラボマンガ専科」の課題で描いたものだ。当時、ネームまでは自分なりによく描いていたが、その先のペン入れ・仕上げまで完遂することはなかったので、クリスタの操作方法など試行錯誤しながら取り掛かった覚えがある。

今、振り返ってみると、絵柄だけでなく、モノローグの使い方といった演出なども含めて、大好きな志村貴子先生を自分なりに参考にして、課題に取り組んだのがよく思い出される。ペン入れのブラシは、クリスタのGペンツールなどがしっくりこなかったので、ダウンロードしたブラシ(「らくがきミリペン」というブラシだ)を使った。

今と比べると、線やデッサンは硬いかもしれないけれど、そのかわり丁寧に描いている(締め切りがない、あるいは大きく猶予があるので、時間をかけて作画している)ので、自分でもなかなかいい絵だなと思えた。うまくはないかもしれないけれど、きちんと自分の好きな絵になっていた。というか、絵の情報量や密度は、今の自分の絵から失われているもののようにも感じて、そこは仕事の納期との兼ね合いもあるけれど、取り戻したい部分だと感じた。

◾️2年前

https://note.com/preview/n106374a59741?prev_access_key=ef375bf04aba71da7b13f76021794970

2年前の自分は、コルクスタジオに所属するようになった専属作家として、会社員から専業漫画家に転職していた。3年前は編集者を目指していたのだが、紆余曲折あって作家側になっていた。

この作品は、コルクスタジオに所属してすぐに連載を開始した作品で、#FR2さんというアパレルブランドから頂いたお仕事だ。縦スクロール形式でフルカラーに初連載と、初めて尽くしで右も左もわからないまま、試行錯誤すらできずに毎回の納期に間に合わせることで精一杯だった。

中でも、縦スクロール形式で漫画を描くという経験は今までに皆無で、自分の中でノウハウを掴めないまま、しばらくは苦労した覚えがある。何を描くかも重要だが、余白の使い方で間を作る必要もある。原稿を仕上げたつもりになったからも、コマ割りや余白の配置の調整などに多く時間を割き、なんだか動画編集者になったような気分だった。

◾️最近

https://note.com/preview/n72b9988afa4e?prev_access_key=3a3c1997dd6fba9bf1ab685d839b0de6

こちらは最近描いた(着色前の)原稿。作画に3D素材を多用するようになったり、デッサンも少し良くなってきたが、一番の違いは、縦スクロール形式のコマ割に幅が出たことだと思う。

それまでのコマ割りでは、従来の漫画雑誌に掲載されているようなコマ割りで描いた作品を、縦スクロール形式に組み直したようなものだったが、この頃になるとコマとコマを重ねたり、スマホの縦画面に最適化した構図などを意識するようになった。

一方で、課題に感じているのは、納期内に作品を完成させるために、手癖で描いてしまったりするところが多いように思っている。特に動きのあるシーンなんかは、もっと柔らかい絵にしたいと思う。というか、今の自分の絵柄って好きじゃないので、どこかで一度きちんと見直したい。背景とかももう少し3D素材の割合を減らしたい。

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